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13.犬具の選択/リード

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リードの役割と特徴 〜選び方のポイント〜

■リード(引き紐)の役割

リードという道具の役割については色々と考え方があるかと思いますが、私が考え方としては以下の通りです。

@犬に一定の行動範囲を与える
A飼い主と犬とのコミュニケーション(意思伝達)

B犬の身を守る為の命綱
C社会的な安全対策(社会ルール)


一般的なリードの長さは120〜140cm。これは、犬に行動範囲を与えると言っても十分なものではありません。また、犬とのコミュニケーションとして意思伝達するにしても、それが「ガツン!」と犬に強い刺激を与えるリードショック(嫌悪刺激)であってはなりません。そこで、犬の行動ニーズをある程度満たせるリードの長さと、意思伝達のリードワークが必要になります。また、犬の身を守る命綱および社会的な安全対策としては、リードの長さ・素材・形状などの種類によって、それぞれ取り扱いに十分な注意を払う必要があります。


リードの長さ

 @一般的なリード・・・120〜140cm
 A散歩用ロングリード・・・180〜300cm
 B伸縮自在リード・・・3〜10m (商品例:フレキシリードなど)
 C訓練用ロングリード・・・5〜30m
 Dショートリード・・・100cm未満

犬の行動ニーズを満たす為には一般市販リード(120〜140cm)では長さが短か過ぎます。短いことにより、犬が側道に逸れたり、飼い主より少し前に出た際、いちいちリードがピンピンと張ってしまいます。そこで「犬に引っ張られては人間も危ないので、脚側歩行にて犬の行動を制限する必要がある。」とか「犬が引っ張るのは自分をリーダーだと思っているからだ! だから脚側歩行(リーダーウォーク)で人間に犬を従わせる必要がある」というのが強制訓練が大好きな方々の考え方であります。しかし、そのような行動制限をいちいち行うようでは犬の行動ニーズは満たされません。

【犬に優しいリード】
散歩用リード(180〜300cm)は犬の行動ニーズを満たすことが可能で、犬の引っ張りを改善または軽減しつつ、人にも犬にも負担が少なく、使い勝手の良い長さです。


リードの素材
 
1.ポリプロピレン製リード/丸紐タイプ
 ・主にPP(ポリプロピレン)を素材としたリード
 ・太さと強度があって握りやすい 
 ・適度に滑り、適度に滑りにくい
 ・適度な質量があるので捌きやすい
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2.ナイロン製リード/平型タイプ
 ・ナイロン、ポリエステル、PPテープ(ポリプロピレン)等を素材とした薄いテープ状のリード
 ・薄いテープ状なので質量が軽い
 ・素手では滑りやすいので火傷のリスクあり
 ・生地が1枚の薄目と2枚合わせの厚目があり、2枚合わせのほうが丈夫かつ握りやすい
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3.布製リード/平型タイプ(ナイロン、PPテープ゚+布生地)
 ・PPテープ等を下地として、表地に布生地を縫い付けてあるリード
 ・テープ状なので質量が軽い
 ・生地のデザインバリエーションが豊富
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4.革製リード/平型タイプ
 ・主に訓練用として使うリード
 ・質量・肉厚もあり、型崩れがなく手に馴染みやすい
 ・握りやすく滑りにくいが、適度に滑らせることも可
 ・伸縮性が少ないので信号がダイレクトに伝わる
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5.フリースライン・リード/平型タイプ
 ・フリース素材をナイロン生地で挟み込み、手に優しい握りやすさと強度を両立したリード
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5.ラバーリード/平型タイプ
 ・ポリエステル素材をベースにゴム素材が編み込まれているリード
 ・ゴム素材で滑り止め効果は抜群だが、滑らないのでリードの送り出しは難あり

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6.伸縮リード(フレキシブルリード)
 ・リール構造ゼンマイ巻き取り式の伸縮自在リード
 ・細いコードタイプと平テープタイプがある(現代の主流はコードタイプ)
 ・犬がリードを引くとリールからコードが伸びていく
 ・コードに引っ張り負荷が掛かっていない状態にて、ゼンマイが巻き取れる
 ・ブレーキボタンを押すとコードの伸縮が止まる
 ・片手操作が基本(コードが細いので、空いてる手でコードを握ることは不可能)
 ・基本構造に問題があり、咄嗟の対応が出来ない
 ・コードが細くて見えにくい為、周囲からは犬がノーリードに見えることもある
 ・飼い主および周囲の人や犬を巻き込む事故が多い
 ・日本のPL法裁判にて、ドイツ某社の伸縮リードは欠陥品に認定されている
 ・広い場所での単独使用以外は絶対にオススメできない危険なリードである
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※この製品を常用して事故が起きないとしたら、それは周囲の人々が伸縮リードを持つ飼い主を避けているとうのもあります。


以上は市販リードの主な素材例ですが、手に握りやすく扱いやすいのは、ポリプロピレン製リード(丸紐)、革製リード(平型)、フリースライン・リード(平型)などです。ナイロン製であれば2枚合わせ生地の厚目タイプもオススメです。

小型犬に限っては布製リード(平型)も良いと思います。ラバー製リードは滑り止め効果が強いので、引きの強い犬を止める際には有効ですが、滑り止めが仇となりスムーズにリードを送り出すことは困難となります。

伸縮リードに関しては、メリット以上に危険性があまりに高い製品なのでオススメしません。


犬がリードを引っ張る理由と原理

犬がリードを引っ張る理由は・・・「それは勿論、犬がリーダーになろうとしているからです!」と言う人がいるとするならば、それは偽りの昔話なのでご注意ください。

【犬が引っ張る理由/心理面】
・早く最初の排泄を済ませたい(家で我慢しているので、生理的に急いでいる状況)
・早く目的地に行きたい(排泄ポイント、好きな場所、楽しい場所など)
・早くこの場から離れたい(居心地が悪い、嫌な相手がいる、嫌いなモノがあるなど)

【犬が引っ張る理由/学習面】
・行きたい方向にリードを引っ張ると、いつも飼い主が付いてくる
・時には飼い主に引き止められるけど・・・ 頑張って引っ張り続けると、やっぱり飼い主が付いてくる

【犬が引っ張る理由/身体的な原理】
・犬の引っ張りに対して飼い主がリードをグイッと引き戻すと、犬は姿勢バランスを保つべく反射的に引っ張り返す
・犬が引っ張っていなくとも、飼い主がリードを引っ張ると、犬は姿勢バランスを保つべく反射的に引っ張り返す


犬も人も快適な散歩 〜最適なリードとは〜

犬の散歩に最適なリードの長さについて考えると、市販品に多く見られる120〜140cmでは必要な長さが足りません。ここで言う必要な長さとは、犬の行動ニーズを満たす為に必用な長さです。

散歩における犬の行動ニーズは、匂い嗅ぎ(情報確認)と排泄&マーキングがウエイトを占めます。長さ120〜140cmの通常リードで散歩をすると、犬が匂いの対象に向かって数歩踏み込んだだけでリードがピンピンと張ってしまいます。結果として飼い主は姿勢バランスを保つべくリードを引っ張り、犬もまた姿勢バランスを保つべく反射的にリードで飼い主を引っ張ります。

たとえ強く引っ張らない犬だとしても、リードがすぐに伸びきってしまう状況は犬の行動を阻害するものである。また、リードが張らないように急ぎ足で歩くにしても、犬も飼い主も互いに慌ただしくなります。

そこで散歩にオススメなのが180〜300cmのリードです。長さに余裕があるので犬の行動も阻害しにくく、飼い主も楽な姿勢でリードを持つことが出来ます。腕に自信のない初心者には、180〜200cmが操作も簡単です

ちなみにロングリードは、全ての長さを常に伸ばしきって使用するものではありません。通常の短いリードではすぐに伸びきってしまう場面等で、必要に応じてリードを送り出せる点が特徴です。状況に応じてリードを維持したり送り出したり手繰ったりと、適時それらの作業を繰り返すのが上手な使い方となります。

そしてロングリートと併せて、犬に優しいハーネスを使用すれば最良です。

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リード各種(200cm、250cm、300cm、BAT仕様の450cm)

都市部や住宅街では180〜250cmが使い易く
郊外では250〜300cmまたはBAT仕様の450cmが重宝します

 
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【リードの引っ張り改善方法】

実際問題として、ロングリードを使用しただけで引っ張り問題が解決する訳ではありません。リードが伸びきった時に引っ張り合ってしまえば、長さがいくらあっても状況は変わりません。

さて、引っ張りを改善する為の方法は簡単です。

@リードが伸びて張ったら、まずは「人間が静止」する。
A静止状態をしばらく維持。リードを持つ人が静止状態にあれば、犬は物理的に前進不可です。
 ※静止のポイント・・・リードをグイッと引くのは厳禁。リードを引くと犬は反射的に引っ張ります。
 ※犬にとって急ブレーキにならないように、リードはソフトに止める。

B犬の前傾姿勢が弛んできたら、拳一個分だけ前に出してリードを緩めてみる。
Cリードを弛めた瞬間に犬が引っ張る場合は、再度@とAを実行。
Dリードを弛めた瞬間に犬が動かなければ、歩行再開。

あとは@〜Dを繰り返すだけでOKです。

犬にとってのルールはシンプルで「リードが張ったら進めない」「リードが弛んでいれば進める」という2点のみ。

人がルールを理解して一貫性を持って実行すれば、犬もルールを理解します。犬がルールの理解に達した場合、リードが張ると犬自ら歩速を落としたり、止まったりするようになります。

引っ張り改善前の犬は、それまではリードを引っ張ることで行動を得ていた訳です。でも、無理に引っ張らずとも行動を得ることを学習すると、リードが張ることに対して不快感を覚えるようになります。

犬は賢い生き物なので、無駄な力を出さないほうが快適に行動できることが分かれば、自然と引っ張らない行動を選択するようになるものです。


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【改善方法の注意点】

・練習を始めるならば、犬が落ち着いてくる散歩中盤からが低ストレス状態で良いです。散歩序盤の犬は排泄ニーズを満たす為に急いでいたりするので、それを下手に止めないほうが賢明です。

・180cm以上のロングリードを使用すること。通常リードでは短過ぎてすぐに張ってしまうので、犬の学習が上手く進みません。この方法の学習ポイントは「弛んでいれば行動できる」という点です。ロングリード使用によって、犬が行動する為の時間と距離(行動報酬)を生み出すことが可能となります。

・「ロングリードで街を散歩をすると、他人の邪魔になるのでは?」という疑問を抱く方が時々いるのですが、それは常識とマナーの問題です。歩行者や交通量が多い場所では、周囲への配慮および安全対策としてリードを短く持つのは社会の常識です。ロングリードは全てを伸ばして使うのではなく、必要に応じて伸ばしたり手繰り寄せて使うものです。

・ある程度は犬に合わせて速歩きで対応する。犬の歩行速度は基本的に人間より速いです。それを終始人間のペースで歩くと、個体によってはロングリードと言えど度々張って止まることになります。そうなると犬の行動ニーズは満たされません。特に日頃から歩く速度が遅い方は、その点も十分に意識してみると良いです。


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散歩は犬のニーズを満たす大事な時間。

犬の心(ニーズ)が満たされることに、犬を想う飼い主は喜びを抱きます。

犬の時間に飼い主が寄り添うことは、犬との大切なコミュニケーション。

私はこのような「犬と飼い主の散歩の楽しみ方」が好きです。
 
 
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