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3.社会化の重要性

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子犬の社会化 〜精神的ワクチン〜

子犬は生後40日頃までは母犬の授乳によって育ちます。 そして離乳をすれば親離れをするのかと言うと、そうではありません。 特に生後90日頃までは子犬にとっては大変重要な時期となります。 まず初めに生後28~55日頃が刷り込み期とされます。 この時期に親兄弟を仲間として認知し、またこの時期に人間が積極的に関わることで人間を仲間として認知していきます。 続いて生後90頃に至るまでの間、子犬はとにかく兄弟とよく遊び、時には母犬に遊び絡みます。 その遊びは一見すると単なるじゃれ合いに過ぎないのですが、子犬はそのじゃれ合いを通して噛み加減を覚えたり、母犬との絡みの中で教育を受けて犬社会の基本ルールを学んでいきます。

そして、生後56~90日頃に至る期間の子犬は好奇心が旺盛で、様々な物事や環境を最も受け入れやすい社会化期とされます。 それに加えてこの時期は警戒心も薄い時期でもあります。 この社会化期を通して新しい飼い主・住環境・他人・他犬・他の動物・場所・物体・音など、積極的に慣らし始めることで子犬が生涯必要とする生活適応力が備わる、とても大事な時期なのです。 つまり、これが犬の習性や生態に沿った育成です。

社会化期を過ぎると子犬たちは、好奇心を維持しながらも警戒心が次第に強くなって行きます。 すると、物事や環境をすんなり受け入れ難い場面も見受けられるようになります。 社会化の臨界期生後118日頃とされ、この時期を過ぎると好奇心よりも警戒心が上回っていきます。 
 
 刷り込み期・・・生後4~7週齢(28~55日) ※仲間を認知する適期 dogflair 
 社会化期・・・生後8~12週齢(56~90日) ※犬社会の学習と馴致の最適期 dogheart02 
 社会化の臨界期・・・生後16週齢(~118日) ※社会馴致の降下期 dogbomb downwardrightdownwardright
※週齢については学者ごとに諸説の微妙な違いはありますが、大筋ではこんなところです。

では、現在の日本のペット流通市場に照らし合わせて見ましょう。 子犬の多くは繁殖場(パピーピルと呼ばれる子犬生産工場または契約ブリーダー)にて産まれ、生後40日過ぎて離乳を終えると親兄弟の元から早々に引き離されます。 そして生後50日前後で犬猫市場への出荷を経て、ペットショップへと移送されます。 繁殖場では作業に追われ?刷り込み期に人間の十分な関与が得られないのですが、そこは何とかペットショップでカバー出来る領域でもあります。 しかし、早々に親兄弟と離されることで大事な犬社会の基本ルールを学ぶ機会を失っており、更にペットショップにおける子犬は1頭で隔離展示されているので、犬本来の優れたコミュニケーション能力が育たない状態にあります。

更に、多くの獣医師が推奨するワクチンプログラムでは、生後3ヶ月を迎えた後に行う2〜3度目のワクチン接種プログラムが完了するまで、子犬を外には連れ出してはいけないという「外出禁止令」が通例として幅を利かせております。 これは病気を恐れるあまりの獣医師の立場における保身的な考え方に過ぎないのですが、その全てを正直に守っていれば、子犬は社会化期を完全に棒に振り、あっと言う間に臨界期を迎えてしまうのです。 もちろん病気のリスクを完全に無視する訳には行きませんので、社会化期にはそれらのリスクも考慮した方法で積極的に社会化を行う必要があります。 これは子犬がとして失ってしまった時間を取り戻す意味でも重要と言えます。

ちなみに、これらの諸問題をクリアしているのがシリアスブリーダーです。 シリアスブリーダーは商業ベースで繁殖している訳ではないので、子犬を犬猫市場やペットショップなどの流通に流すことはしません。 子犬が社会化期を迎えるまで親兄弟の元で手間を掛けてきちんと育て、そのうえで新たな飼い主に譲渡する正統派の繁殖家です。

混合ワクチンの接種は伝染病予防を目的とするものですが、社会化は犬がこれから生きて行く世界を認知させる為の重要な時期です。 実際、社会化不足によって後に問題を抱えるケースは非常に多く、犬のニーズを満たすことと併せて考慮するべき重要な事柄でもあります。 健全な肉体は健全な精神に宿るというように、犬の身体的健康と精神的健康は表裏一体で考えなければなりません。
 
 混合ワクチン・・・伝染病の脅威を身体的に予防することが目的 doghospital
 社会化・・・・精神的な健康を形成することが目的 dogheart02
 
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 成犬の社会化 〜生涯可能〜

社会化の臨界期を超えた犬の社会化は不可能なのか? その答えは可能です。 但し、社会化期に勝る順応力は消失していますので、年齢が進むほどに社会化に要する時間は掛かります。 そして社会化を行う方法の選択肢が限られてきます。 しかし、最適期を過ぎたというだけであり、個体の性格を見極めてきちんと手順を踏めば、個体相応のレベルで社会化は可能です。 成熟した個体でも、年老いた老犬でも、社会化を諦めることはありません。 犬が何歳になっても社会化は可能です。

また、幼犬期にしっかり社会化を行っても、その後、犬が社会に身を置かない状態が続くと、せっかく身に付いた社会性は次第に失われてしまいます。 社会化を行うことも大事ですが、脱社会化にならないよう、社会化は適切に維持することも大事です。

 
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