光ファイバー

5.無意味な強制訓練

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巷に蔓延る訓練の問題 〜絶対服従??〜

犬との暮らしにおいて飼い主様が情報を集めようとすると、巷では犬のしつけに関するものばかりが目立ちます。 書店にてペット本のコーナーを覗いて見ても犬のつけに関する書籍がズラリと並び、その内容はいい加減な定説や単なる服従訓練を語るというもので、現実のドッグライフには則していません。

もともと犬の訓練は、第二次世界大戦中のアメリカが軍用犬を積極的に取り入れたところから始まり、後に警察犬の訓練へと発展させたものであると言われています。 そして今日の訓練士および多くのドッグトレーナーが行う訓練手法は、それら使役犬の服従訓練がベースとなっており、今もなお、それらの訓練手法をベースにした一般飼い主向きのしつけ教室も多々あります。

但し、決して服従訓練の全てが悪いという訳ではありません。 「スワレ」1つ教えるにしても、犬とのコミュニケーションを重視した訓練もあります。 この場合、服従という表現が不適切なのかもしれませんが、同じ服従訓練でも対服従」という概念に基づく強制訓練は、家庭犬との暮らしにおいては現実的ではないということです。

強制訓練とはどんなものかと言うと、犬の精神状態や周囲の状況を問わず、人間側の都合を一方的に押し付ける方法のことです。 例えば、犬の散歩中の引っ張りに対してガツッ!と強いリードショックを加えたり、吠えに対して電流首輪やスプレー噴射首輪を用いたり、物を投げつけたり、指示に従わないからと怒鳴ったり、叩いたり、蹴ったり、嫌悪刺激を嫌がって抵抗する犬を腕力で押さえ込んだり、など。

これらの嫌悪刺激(体罰)と呼ばれる行為の数々は、犬の精神と身体に対する単なる虐待であり、犬を恐怖で支配して言い聞かせているに過ぎないのです。 そして「行動矯正」「主従関係」「上下関係」などの言葉を用いることで、これらの虐待的手法を正当化している専門家もおりますが、恐怖支配の果てにあるのは恐怖心と不信感であり、そこには人と犬の信頼関係など存在しません。 そして、犬を支配的に扱おうとする者ほど、権勢症候群などの在りもしない定説(リーダー論)を振り回す傾向にあります。 

しかし、犬という生き物は従順なもので、ラブラドール・レトリバーや小型愛玩犬などのように、酷い仕打ちに対して簡単に心が折れてしまう犬種群も存在します。 また、日本犬のように自尊心の強い犬種群であれば、簡単に屈することありませんが、その心をも圧し折ってやろうとするのが絶対服従の概念に基づく強制訓練なのです。 また、強制的手法を用いて行動矯正を強要されてきた犬たちは、飼い主に対する不信感から咬み付き行為に及ぶなど、更なる問題を連鎖することもあります。

元々何の目的で犬を飼い始めたのかを考えてみて下さい。 おそらく楽しいドッグライフを思い描いていたはずです。 果たして、心が破壊された犬との暮らしが本当に楽しいでしょうか。 犬に対する強制ではなく、人と犬との信頼関係からなる共生こそが犬を愛する方々が求めるドッグライフだと思います。


 
問題へのアプローチの違い 〜原因の排除〜

例えば、俗に言う犬の問題行動の1つとして「吠え」が挙げられます。 家に居る時の吠えから、散歩中の吠えに至るまで状況は様々です。 この問題に対する服従訓練のアプローチは、飼い主の絶対的な指示(コマンド)によって「吠え」を止めさせることです。 ここでは犬が何の理由で吠えているかなどは一切詮索しません。 その為、犬は他人を見ては吠え、他犬を見ては吠える、という具合に事あるごとに吠え出します。 そして、事あるごとに飼い主が指示して介入という流れです。 訓練前まで吠え続けていた犬が飼い主の一声で吠え止むのであれば、「吠え」の表面的な問題は解決したと言えます。 しかし、根本的な原因が排除された訳ではないので、いつ犬が吠え出しても不思議ではありません。

一方、問題の原因を踏まえたアプローチは服従訓練とは全く異なります。 まず第一に、犬が吠えることは特性であり習性です。 だからこそ、吠える行為はそれらに基づく理由が必ずあると考えます。 そして、どのような相手にどのような状況で吠えるのかという情報を整理し、実際に犬が吠えている場面をよく観察し、犬のボディランゲージや吠え方などから犬の感情を読み取ります。

すると、犬の居場所が心から落ち着けない場所だったり、他犬に対する怯えだったり、不満だったり、単なる遊びの誘いだったりと、様々な原因と可能性に行き当たります。 そして原因に対する働きかけとして、犬の居場所を落ち着けるように環境整備をしたり、散歩の質を高めて行動ニーズを満たしてフラストレーションを解消したり、犬が本来持つべき社会性を社会化によって取り戻すことで過度な感情反応を消去したり、犬の自制心を育てるトレーニングを行うことで興奮しないようにしたりします。 すると犬は吠え続けるどころか、吠え出す理由(原因)が無くなります。 これが犬の習性・生態を考慮したアプローチです。
 

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